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小林製作所

株式会社 小林製作所
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プロジェクトストーリー 製紙機械 機械設計
プロジェクトストーリー 製紙機械 機械設計

全長200m級の巨大マシンを、
新しく甦らせる。
2年に渡る海外での
抄紙機リビルドプロジェクト。

プロジェクト | 製紙機械 | 機械設計

INTRODUCTION

このプロジェクトの起源は、とある海外クライアントが他国から「中古抄紙機」を購入したところに遡る。抄紙機とは、紙を製造するマシンだ。クライアントがこのマシンを自社で本格稼働をさせる改造計画が浮上したが、気候による経年劣化が激しく再稼働計画の雲行きが怪しくなった。そこで、30年以上親交のある小林製作所に“再稼働(リビルド)”の依頼が舞い込んだ。場所は赤道直下の国インドネシア。部品一つひとつをすべて調査し、CAD図面化を実現。その後、7か国20社のサプライヤを統率し、全長200mの巨大マシンを甦らせた約2年にも及ぶ長期海外プロジェクトの軌跡を追う。

PROJECT MEMBER

製紙機械設計部 渡邉 啓太

製紙機械設計部 渡邉 啓太
1997年入社 機械工学科卒

製紙の街として栄えている富士の地で、製紙機械メーカーである小林製作所に魅力を感じ入社。入社以来、製紙機械設計の業務に携わり、25年以上のキャリアを持つ。現在は管理職として、部内のマネジメントも担う。

製紙機械設計部 瀧 亮介

製紙機械設計部 瀧 亮介
2014年入社 機械工学科卒

父が車をいじるのが好きで、その影響でモノづくりに興味を持つ。何か大きなことがしたいと漠然と考えていた時に「世界が驚くモンスターマシン」というキャッチコピーに惹かれ小林製作所に入社。入社後は製紙機械設計部に配属され、1年目から本プロジェクトに参加する。

STORY・01

全長200mの大型マシンを
CAD図面化。すべての部品を
測定する調査が始まる。

2014年11月。本プロジェクトは、ある抄紙機の調査依頼から始まった。クライアントが購入した抄紙機はかなり昔に製造されたマシンで、あるのは手書きの図面のみ。まずは、どんな部品があり、どんな寸法なのか、それを調査し、CAD図面へと書き起こす必要があった。この時選出されたのは、製紙機械設計部と製造部の精鋭5名。コンテナ185個に保管されていた部品すべての調査・スケッチを行い、ひたすら寸法を測っていく作業が3ヶ月続いた。当時20年近いキャリアを持つ渡邉も、こういった依頼は初めてだったという。「はじめの依頼は、マシンの完成図面と調査報告書を提出するのがミッションでした。長年様々なプロジェクトに関わってきましたが、今回のような依頼は初めて。全長200m級のマシンの部品をすべて図面化するのは本当に大変で、途中7人にメンバーを増やし、部品調査・スケッチに3ヶ月、CAD図面化・報告書作成に3ヶ月、全部で半年ほどかけて調査が完了しました。」

2015年6月。マシンの調査が完了後、改めて抄紙機の再稼働(リビルド)に関する依頼が小林製作所のもとに届く。もともとはコピー用紙を製造する機械だったが、近年物流でのニーズが高まる段ボール原紙を製造する機械へとマシンを改造することになった。プロジェクトを進めるにあたり、クライアントと小林製作所の仲介役となるインテグレーターとして2名が抜擢された。それが渡邉と、当時入社1年目の瀧だった。当時を振り返り瀧はこう語る。「入社してすぐ参加したのがこのプロジェクトで、図面化のために3ヶ月海外に行くのも驚きでしたが、その後まさか2年にも渡って海外に行くとは思ってもいませんでした。しかもインテグレーターというポジションは社内でも経験した人がいない未知の仕事。自分にこの役割が務まるのか、正直不安でしたね。」入社1年目の瀧はもちろん、経験豊富な渡邉にとってもこれは初めての経験だった。ここから約2年。インドネシアでの新しい生活が始まる。

STORY・02

インテグレーターとして
インドネシアへ。
築き上げたクライアントとの
信頼と一体感。

2015年8月。渡邉と瀧の2人は、インドネシアに降り立った。数ヶ月ごとに1週間ほど日本に帰国することはできるが、基本的に2年間はここでの生活が中心となる。不安と期待を抱え、インテグレーターとしての業務がスタートする。

瀧はインテグレーター業務の難しさをこう語る。「小林製作所の社員でありながら、インテグレーターとして求められているのはクライアントサイドに寄った立ち位置。だから、小林製作所からクライアントへ投げられた質問を、自分が調査して回答することもありますし、時には自社の利益にならないこともクライアントの立場で意見する必要も出てきます。どう立ち回るのが正解なのか、このバランスが難しかったですね。」インテグレーターは、クライアント先と自社の問題に対して中立な立場が求められる。2人は円滑にプロジェクトを進めることに徹していた。

また、海外メーカーとの間に立ち、技術的サポートやアドバイスを行うのもインテグレーターの役割のひとつ。クライアントのチームの一員としてここまで深く入り込んだのは初めてだと渡邉は語る。「これまでも機械の据え付けのためクライアント先に長く滞在することはありましたが、あくまでお客様先という一線がありました。でも今回は、お客様というよりは、本当に客先社員のような感覚になっていて、一緒にプロジェクトを成功させようというチームの一体感をとても強く感じました。」結果的に7か国20社のサプライヤを統率し、2人はプロジェクトに欠かせない存在となっていた。

プロジェクトが進むうちに、中国や台湾といった海外のパートナー企業からもメンバーが集まり、1年以上ともに過ごしたという。文化の違い、言葉の違い、様々な課題を抱えながらも、一つひとつ解決していき、2017年3月製品が完成。パフォーマンステスト、手直し工事を経て、2017年12月に2人のミッションは完結を迎えた。

STORY・03

ものをつくらず、
知識と技術を提供する。
エンジニアリングという
新領域への可能性。

約2年間にわたる海外での仕事を終え、渡邉はいつもとは違う達成感を味わっていた。「最初は不安でしたが、終わってみれば2年間はあっという間でした。これまでは設計としてひとつのもの(機械)を完成させる達成感がありました。でも今回は、何もない更地から建築工程、機械据付工程、マシン立上げと、最初から最後までプロジェクトのストーリーすべてに携わることができ貴重な体験をさせていただきました。大きな満足感と同時に無事やり終えた安堵感。この感覚は今までに味わったことがなかったですね。」

瀧もまた大きな成長と仕事の手ごたえを感じていた。「自分たちがつくる機械を実際に見て、使う側(クライアント側)として関わることができたのは大きかったと思います。当時は不安もありましたが、今思うとこの経験ができたことに感謝していますね。あとは、社外からの反響も大きかったのが印象的でした。製紙業界にとってひとつの転換ともいえるプロジェクトになったように思います。」プロジェクト終了後、製紙業界の各企業が集まる年次大会で本プロジェクトが発表された。ペーパーレス社会の進行に伴い、製紙産業は転換期を迎えている。今回行ったコピー用紙の製造機械から段ボール原紙の製造機械へのリビルドは、今後も需要が見込まれる物流ニーズと相まって、業界から注目を集める事例となった。

そして、小林製作所はさらに先の未来を見つめている。それは、エンジニアリングというビジネスモデルの確立だ。世界に誇る技術力で高品質な機械を届けてきた小林製作所だが、その知識やノウハウ、技術サポートを提供することでビジネスをつくれることも、本プロジェクトで証明された。エンジニアリングという新領域の開拓へ、小林製作所は新しい可能性へと歩みを進める。

AFTER TALK

渡邉:入社してすぐ2年もの海外出張。瀧さん、本当にお疲れ様でした。何かインドネシアでの思い出はある?

瀧:節目ごとにクライアントが食事会を開いてくれたのが嬉しかったですね。大きな会場を貸し切りにしてくれて。そこで現地のメンバーとの親交が深まりました。

渡邉:確かにそうだね。最後のほうは、お客様というより、同じ会社で過ごす同僚のような感覚に近かったよね。そういえば「娘の結婚式に出席してほしい」と招待を受けたこともあったね。

瀧:東南アジア特有の気候で体育館は蒸し風呂状態でしたが、素敵な結婚式でしたね。まさか自分がインドネシアの結婚式に参加するとは思っていませんでした。

渡邉:大変なことも多かったけど、異文化から刺激をもらい、人の温かさにも触れて、日本では体験できない様々な経験を得ることができたプロジェクトだったね。

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